立て続けに気胸が…
自然気胸が3例続きました。細身の若い男性ってことで典型的です。なぜか同時期に発生することが多いように思います。気圧の変化が誘因になるのかもしれません。
気胸とは、肺の表面に小さな穴が開いて、肺内の空気が胸腔内(肋骨の内側)に漏れ出た状態を言います。本来は空気がないはずの肋骨と肺との隙間に異常な空気があるので「気胸」と呼びます。(血が溜まれば血胸、膿が溜まれば膿胸、水が溜まったら何故か水胸じゃなくて胸水と呼ぶことになっています)
肺に穴が開く原因ははっきりしないことが多く、胸を強打したとか咳き込んだとか何かが刺さったとかの原因があることは稀なようです。小さな穴なら自然に塞がって気胸も数日で治ってしまいますが、穴が大きかったり塞がらなかったら手術が必要になります。また治った後に再発することも多く、厄介なものです。
突然に起こるので苦しかったり、心配だったり、また安静や入院を強いられることになるので仕事や通学に困る、再発することもあるので後々も心配が晴れない、という感じで患者本人も家族も担当医にとってもストレスフルな病気です。
左右の肺は卵ぐらいの大きさの臓器で、正常に膨らむと左右それぞれ3Lぐらい(コンサートウクレレぐらい)の大きさになり肋骨で囲まれた胸の箱の中いっぱいに膨らんで収まっています。柔らかい泡みたいなか弱い臓器なので外からの衝撃や有害なものを吸い込んだり何故かの穴空きなどが誘因になって容易に凹みます(病気になったり文字通りしぼんだり)。
この微細なか弱い構造の肺の魅せられ、息苦しい患者さんを可哀想に思う心で診療を続けいているのが、呼吸器内科医なのですよ。か弱い肺は自力で病気から治ることは難しく、正しくそ〜っと治してやらないといけない。そして痛み止めはあるけど苦しい止めという薬はないので息苦しい患者に寄り添って共に苦しみながら乗り越えていく仕事なのですよ。
難儀な仕事なので呼吸内科を志望する医者が増えません(笑)