漢方薬の話
11年前から(正確には開業と同時に)漢方薬を使うようになりました。
総合病院の呼吸器科で診療している頃は限られた病状の人を診るだけなので西洋薬の組み合わせで対応できていた。ところが一人で開業してみると、内科/呼吸器内科を謳っていても様々な症状の方が受診され、なんとか対応しないといけない。風邪といっても症状はそれぞれ、咳で困ると言いながら原因は職場のストレスらしい等々、いろいろ聞き出して適切な薬を選ぶ必要があります。そうなると単に咳に咳止め、頭痛に痛み止め、胃もたれに胃薬という対応では不十分で、こんな病状の人にはこの薬、あんな体質の人にはこの治療、といった選択をするようになってきました。
そうそう、「症状を除去する」よりも「この人に合う薬を選ぶ」ということに主眼を置くようになります。全人的治療なんていう大げさなことではなく、「なんとなく調子が良くなってきた」と満足してもらえるように気をつけてあげるというスタンスになってきた、かな。
西洋薬の治療に漢方薬という新しいカードを加えるとさらに治療しやすく、選択の幅も広がります。
昔の医学部教育では漢方を習うことはなく、エビデンスのない怪しい治療だという認識でした。したがって勤務医時代にはほとんど使わなかったですね。ここ10年で漢方の勉強をして少しずつ使えるようになってきました。予想以上の効果が出たりして難しいやら面白いやら…日々新しい発見があって新鮮です。
近ごろは医学部でも習うらしく若いドクターたちはは抵抗なく処方するみたいです(若者はいろいろ勉強するなぁ)。